コンプライアンス研修 (1) 総論

コンプライアンス(Compliance)とは?

「法令遵守」
企業に求められている「コンプライアンス」とは

倫理観 公序良俗などの社会的な規範に従い公正・公平に業務をおこなうことを意味

■法令
法令は国民が守るべきものとして、国会で制定された法律。国の行政機関で制定される政令、府令、省令等の総称。地方公共団体の条例、規則を含む場合あり。
■就業規則
就業規則とは、社内ルールやマニュアル、業務の手順など、就業ならびに業務の遂行にあたって社員が遵守しなければならない取り決めをいう。
■企業倫理・社会規範
企業が社会から求められる、倫理観や公序良俗の意識を指す。

ポイント
「法令・規則・マナーを守った振る舞いにより、会社と自分を含めた従業員の信用を維持・向上すること」が大切!

コンプライアンス違反の代表的な事例

1.法令違反

食品衛生法や著作権法など、企業が事業を遂行するにあたり遵守すべき法令の違反。
最初は小さな違反でも次第に重大な違反に。この程度であれば大丈夫だろうと見過ごさず、常に注意することが必要。

2.不正経理

不正経理は、取引先や関連企業・関係者など広範囲被害が影響。発覚後の打撃も大きく、経営破綻に至るケースあり。
不正経理が企業に与えるダメージは甚大。架空請求や業務上横領、粉飾決算などの不正経理に該当する違反行為には常に厳しい姿勢での対応が求められる。

3.情報漏えい

情報漏えいとは、企業が管理する顧客情報の流出やインサイダー取引などのこと。
個人情報の漏えいは一挙に企業の信頼失墜につながる。情報の秘匿性の高さを社員が認識せずに扱った場合などに起こりやすい。

4.労務問題

過労死ラインを超えた過重労働、パワハラやセクハラといった各種ハラスメントなど。
労働者が雇用者から受けた不当な扱いや不利益によって起こった精神的、肉体的な苦痛を与える問題。

コンプライアンス違反をしたら?

企業及び従業員が違反を犯すと罰則が科されることもあり。

【具体例】
○企業イメージ・ブランド力・社会的信用などの失墜
消費者から買い控え
株価下落 株主離れ・損害賠償 取引先と関係悪化
従業員の離職 新しい人材確保も困難
○消費者や取引先に被害→訴訟や高額な賠償金の支払発生

企業が受ける罰則の例

① 粉飾決算などの不正会計

粉飾決算とは企業が不正な会計処理を行うこと。例えば、利益を少なく見せて、税金を少なく払う、あるいは逆に利益が出ていないのに利益が出ているように見せて株価を上げるといった虚偽の収支決算。
→行政処分や刑事罰(東芝事件等が有名)

② 個人情報保護法違反

この法律は5,000名以上の情報を有する「個人情報取扱事業者」が規制対象となり違反した場合。
→主務大臣による注意勧告や命令の対象になる。
→情報漏洩の場合、損害賠償請求の可能性もある。
※2022年4月施行の改正個人情報保護法ではペナルティ強化

従業員が受ける罰則の例

① 飲酒運転等の法令違反

→刑事(50万円以下の罰金や懲役) 民事上の損害賠償(事故の場合等)
※飲酒運転は運転者のみならず、同乗者、酒類提供者、車両提供者も対象。

② ハラスメント違反

→懲戒処分、損害賠償、刑事罰の可能性もあり(暴行、傷害等の場合)

③ 経費処理に関する不正

経費の私的流用、交際費の不正利用、カラ出張など交通費の不正受給等
→懲戒処分、損害賠償、刑事罰の可能性もあり(窃盗、詐欺等の場合)

④ 情報漏洩

自社内の機密情報持ち出し、協業他者への情報開示など
→懲戒処分、損害賠償、刑事罰の可能性もあり(窃盗、詐欺等の場合)

コンプライアンス関連ワード 「CSR」

CSRとは、
「Corporate Social Responsibility」の略語で企業の社会的責任を意味する。
企業はコンプライアンス上で経済活動をおこない、地域社会の要請に応え、貢献していく責任があるという考え方。
CSR活動はコンプライアンスへの取組が必要不可欠。

コンプライアンス研修 (2) 個人情報と情報漏えい

コンプライアンス研修 (3) ハラスメント